農具づくりから、農業機械の開発へ。
スズテックの始まりは、戦後間もない宇都宮での農具づくりです。鍛冶の技術を生かして、食料増産の役に立ちたい。そんな思いから、わらを切る機械の刃物や、土を耕す農具の刃先をつくり始めました。最初の拠点は、宇都宮市今泉町です。
1957年6月に「鈴木鍛工株式会社」として株式会社化。1966年8月に平出工業団地へ本社・工場を移し、1968年2月には水稲育苗用播種機を開発して、生産・販売を始めました。現在の社名「株式会社スズテック」になったのは1986年8月です。
農具の刃物から、種をまく機械へ。農作業を支える道具づくりを続けながら、園芸や畑作、清掃機器、豆苗へも事業を広げています。

種まきの前後にも、苗箱の仕事がある。

田植えの前には、苗を育てる準備があります。水稲用播種機は、苗を田んぼへ植える田植機とは別の、育苗箱へ種もみをまくための機械です。水やりの灌水や、種の上に土をかける覆土まで扱う機種もあります。
種まきの前後には、箱を送り、取り出し、重ね、移動する仕事もあります。苗箱の動きを追うと、種まき一つの前後にも、いくつもの工程があります。スズテックの製品を、苗箱を扱う四つの場面から見てみます。
機器の組み合わせは、苗箱、処理能力、設置場所などに合わせて確認します。
供給する
空の苗箱を一箱ずつ送り出し、播種機へ渡す。苗箱供給機の仕事です。
種をまく
種もみをまき、機種に応じて灌水や覆土も行う。播種機の中心の役割です。
積み重ねる
播種後の苗箱を積み上げ、まとめて取り出せるようにする。自動ハコツミ機が支えます。
パレットへ移す
積み重ねた苗箱をパレットへ移し、搬出する。苗箱パレット積出機の仕事です。
人工マットを入れる、一工程に向き合う。
人工マットで育苗するときには、種をまく前に、苗箱へマットを入れる作業があります。「人工マット充填機 MJ500」は、この作業を機械で支える製品です。
ロックウール育苗マットを自動で供給して苗箱へ充填し、マットは最大30枚までセットできます。マットがなくなると機械全体が止まるので、補充のタイミングも分かります。
種まきの手前で、育苗を支える大切な一工程。その手間にも、機械づくりで向き合っています。MJ500は、播種機とは別に動く独立した機械です。


六つの製品から、支える作業を見る。
公式サイトに載る六つの製品を、何の作業を支える機械かという視点で紹介します。そうして見ると、苗箱一つの動きに、いくつもの機械が関わっていることが分かります。
掲載例は、役割を伝えるための一例です。販売状況と適用条件は、公式の商品案内で確かめられます。
SEEDING全自動播種機 TRK4000K
床土、灌水、播種、覆土までを扱う全自動播種機。新しい播種ユニットで、種子の供給と播種の均一さを追求。灌水は播種後に組み替えることもできます。
SEEDINGオート播種機 HK509BM
播種量を無段階で調節でき、うす播きから高密度播種まで対応。別売りの土入れ機を連結すると、一貫作業ができます。
SUPPLY苗箱供給機 SNK801
スパイラル分離機構で、空の苗箱を一箱ずつ供給します。苗箱を多くストックできる「SNK801-C6」は別仕様で、収納量や機体の大きさは型ごとに異なります。
STACKING自動ハコツミ機 AH800K
苗箱の底面を持ち上げる機構で、衝撃を抑えながら積み上げます。苗箱を取り出すときの姿勢にも配慮しています。
PALLET苗箱パレット積出機 SPT800K
積み重ねた苗箱をパレットへ移し、設定数に達するとパレットを排出。重ねたあとの搬出までを担います。
MAT人工マット充填機 MJ500
ロックウール育苗マットを苗箱へ入れる機械。播種機とは別に動く独立機として、準備段階の作業を担います。
部品をつくり、一台の機械に仕立てる。
農作業に使う機械の後ろには、その機械をつくる仕事があります。スズテックは、自ら開発し、生産し、販売する開発型の企業です。
宇都宮の本社工場では、鉄板の切断、プレス加工、溶接、塗装、組立・梱包までを手がけています。板状の材料から部品をつくり、組み合わせ、仕上げ、一台の機械として送り出す。自社の工場でつくった機械を、各地の農業の現場へ届けています。完成品の外観だけでは分からない工程が、宇都宮のものづくりを支えています。
社是は「堅実・先進・独創」。技術力と生産力を高めるとともに、一人ひとりの発想や工夫を、研究・開発・改善の力にしています。


育苗の技術から、ほかの農作業と食へ。


水稲育苗が中心の一方で、スズテックの製品は、花卉、畑作、トラクタ用作業機、環境関連機器にも広がっています。
「ニラ調製機 NT801」は、ニラの根本の切り揃えと結束を自動化する機械です。土や苗を扱う段階だけでなく、収穫した作物を出荷へ整える仕事にも、機械が関わっています。NT801は、栃木県の2025年度フロンティア企業の紹介でも取り上げられました。
手動式掃除機「FRT403D」は、電源不要で、ロールブラシとサイドブラシでごみやほこりを集めます。ハンドルとブラシの高さを調節でき、使う人や場所に合わせられます。
育てて届ける「豆苗」も。スズテックは、エンドウ豆の若芽である豆苗の栽培・販売も手がけ、業務用と一般向けの両方に届けています。機械だけでなく、食材を育てる事業も持つ会社です。
届けたあとも、使う人が確かめられるように。
機械を使い始めた後には、調節方法や部品、手入れについて確かめたい場面もあります。
スズテックの公式サイトには、商品カタログのほか、取扱説明書、パーツリスト、メンテナンスマニュアルの入口があります。取扱説明書は型番から検索でき、同じ製品名でも、機番や製造時期ごとの資料を用意しています。
TRK4000Kの紹介ページからは、土量、ブラシの高さ、灌水装置、播種量などの調節動画へ進めます。製品を届けたあとも、使うための情報を用意する。それもメーカーの仕事の一部です。

工場の仕事を、地域の子どもたちへ。

2026年8月、スズテックは小学生向け職業体験学習「宮っ子トライ」で、工場見学を受け入れました。
子どもたちは保護者と一緒に会社説明を聞き、製品の部品加工から組立・出荷までと、豆苗の栽培から出荷までを見学しました。機械をつくる現場と、食材を育てる現場。一つの会社の中で、ものづくりと農業の両方に出会える見学です。
完成した機械や、袋に入った豆苗の、その前にある仕事。地域の企業が、身近な仕事を知る場所にもなっています。


